【特許権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平26・10 30/平25(行ケ)10340】原告:(株)日本科学エンジニアリング/被 :(株)ケミカル山本

裁判所の判断(by Bot):

当裁判所は,原告の各取消事由の主張にはいずれも理由がなく,審決にはこれを取り消すべき違法はないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1取消事由1(新規性判断の誤り)について
(1)本件特許発明1について
ア本件明細書によれば,本件特許発明1について,次の内容が認められる。
(ア)従来,ステンレス鋼の耐食性は,ステンレスの鋼種に応じた各合金成分自身の耐食性によるものではなく,その製造工程において,熱濃硝酸の溶液中に一定時
14間浸漬する不動態化処理により,その表面に生成させたÅ単位(10−1nm)の極めて薄い含酸素系不動態化被膜の作用効果によるものであった。ところが,このようなステンレス鋼の不動態化被膜も,ハロゲン元素,特に塩素イオン(Cl−)を含む環境下においては,ピット状の異状腐食が発生し,また,これに外部からの応力がかかった状態,あるいは,応力が残留した状態では,異状腐食や応力腐食割れなどの孔食が発生し,特にオーステナイト系ステンレス鋼にとっては,致命傷となっていた(【0002】)。一方,孔食の発生防止対策としては,環境因子としては,接触する溶液の組成,pH,温度などを改善するという間接的手段や,冶金的因子としては,合金元素の添加,あるいは溶接などの熱影響部に対しては熱処理として溶体化処理を施すことなどが,対策として講じられてはいるものの,いずれもステンレス鋼自体に係わる具体的かつ抜本策とはいい難く,その画期的防止対策の必要性が強く望まれてきた(【0002】)。
(イ)本件特許発明1は,ステンレス鋼の合金成分を変更したり,冶金的な加熱処理のように煩雑な処理を施すことなく,既存のステンレス鋼の表面に対し,酸素のほかに新規な弗素系の耐食性被膜層を形成させることにより,従来の酸素系不動態化膜の欠点を補って,耐食性,特に耐孔食性の大幅な改善と,(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/593/084593_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=84593