【下級裁判所事件:殺人(認定罪名傷害致死),傷害致死 ,窃盗被告事件/福岡高裁1刑/平29・3・27/平28(う)414】結果:棄

犯罪事実(by Bot):
の項において,原判示第1ないし第3として認定した各傷害致死の事実において,傷害の部位,種類,程度等の具体的内容を摘示していないから,理由不備がある上,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というのである。しかし,原判決は,(犯罪事実)の項において,共犯者及び被害者3名,暴行の時期及び場所,被害者の負った傷害の原因である暴行の態様を具体的に摘示して,被害者3名がそのような暴行によって受けた傷害により死亡した事実を認定している。そうすると,原判決は,傷害致死罪の構成要件に該当すべき具体的事実について,それが構成要件に該当するかどうかを判定するに足りる程度に具体的に明らか
にしており,罪となるべき事実の摘示として欠けるところはない。原判決には理由不備は存しない。また,原審で取り調べられた証拠に照らすと,被告人及びBは,被害者3名の遺体を土中に埋め,それらを掘り返した後に遺骨を砕いて川に投棄するなどの徹底した罪証隠滅工作をしており,原審公判においては,被害者3名が死亡した経緯及び状況に関して曖昧な供述しかしておらず,そのほかに,被害者3名の負った傷害の部位,種類,程度等を具体的に明らかにできる証拠はなかったということができる。そうすると,原判決は,被害者3名が負った各傷害について具体的に摘示していなくとも,原審で取り調べられた証拠から認定できる範囲で,被害者3名の各傷害致死に該当する事実を具体的に摘示しているということができる。原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反は存しない。論旨は理由がない。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/689/086689_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86689