【下級裁判所事件/宇都宮地裁/平29・3・24/平28(わ)234】

概要(by Bot):
本件は,Bとの関係では間接正犯が,Cとの関係では共謀共同正犯が成立する。第四よって,判示事実が認定できる。なお,間接正犯も共謀共同正犯(刑法60条)も,他人を利用して自己の犯罪を実行するという点で共通するところ,本件の場合のように,他人に対し指示・命令し,その者がこれに従うという形態においては,間接正犯か共謀共同正犯かの違いは,その他人が意思を抑圧されて他の行為に及ぶことができない,いわゆる道具となっているか否か,という点にある。そうすると,指示・命令及びこれへの随従が認められる以上は,少なくとも共謀共同正犯は成立することとなるが,なおそれ以上に,他人が上記のような道具と化していると認められる場合には間接正犯が成立する,という構造になる。逆に言えば,本件のような犯罪形態にあっては,間接正犯が成立する場合には,その前提として指示・命令及びこれへの随従といった共謀が内包されていることとなる。そうすると,本件においては,間接正犯の訴因の中に共謀共同正犯の訴因も含まれているから,間接正犯の訴因について縮小認定として共謀共同正犯の訴因を認定することは許容されるものと解する。しかも,本件においては,主位的に間接正犯の訴因が主張されているにとどまらず,予備的に共謀共同正犯の訴因も主張されている上,現に,弁護人も被告人も,予備的訴因を否認する旨の主張・反証活動を行っているのであるから,被告人及び弁護人に対する防御上の不意打ちとはならない。以上より,当裁判所は,主位的訴因である間接正犯の訴因を基にして判示事実を認定した。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/697/086697_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86697