【下級裁判所事件:覚せい剤取締法違反/前橋地裁高崎支 /平29・6・19/平28(わ)21】

主文(by Bot):
被告人は無罪。
理由
本件公訴事実は,主位的訴因が「被告人は,法定の除外事由がないのに,平成28年1月8日ころ,群馬県高崎市内の当時の被告人方において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパンの塩類若干量を含有する水溶液を自己の身体に注射し,覚せい剤を使用した。」というものであり,予備的訴因が「被告人は,法定の除外事由がないのに,平成27年12月下旬ころから平成28年1月9日までの間に,日本国内において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を自己の身体に摂取し,覚せい剤を使用した。」というものである。被告人は,警察官調書において,主位的訴因を認める供述をし,第11回公判期日において,予備的訴因を認める供述をし,その期間内に国外にいたことはなく,群馬県外にいたこともないと供述している。これらの自白を除く証拠によって認められる事実としては,平成28年1月14日当時被告人の右腕部内側に注射痕が存在した事実(捜査報告書・甲4),被告人は,同月9日午後6時50分過ぎころ,一見して頬がやせこけ,生気のないような肌の色で,目がややぎらついたような覚せい剤を使用した者に見られる状態であった事実(証人Aの公判供述,証人Bの第3回公判供述)が存在し,これらの事実は,過去に被告人の体内に覚せい剤が摂取された可能性があるという限度では,上記自白の真実性を裏付けるものではある。しかし,当裁判所は,被告人の体内に覚せい剤が摂取されたことを直接立証する被告人の尿の鑑定書について,平成29年3月15日付け証拠決定により,尿の採取手続に重大な違法があるとして,検察官の同鑑定書取調請求を却下した。その理由は,同決定書記載のとおりである。そうすると,主位的訴因の日又は予備的訴因の期間内に,被告人の体内に覚せい剤が摂取された事実については,上記自白の真実性を保障するに足(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/881/086881_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86881