【下級裁判所事件:過失運転致死/福岡高裁1刑/平30・6・29/ 平30(う)84】

主文(by Bot):
本件控訴を棄却する。
理由
第1 事実誤認の主張について
論旨は,被告人は,被害者が大型貨物自動車(以下「本件車両」という)の右側面部付近に佇立するか,そこを歩行していたにもかかわらず,運転席側の右サイドミラーで確認しなかったため,被害者に気付かずに本件車両を発進させて,被害者を死亡させたのに,被告人の過失を否定して被告人を無罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある,というのである。そこで記録を調査して検討すると,まず,被告人が本件車両を発進させた際,被害者がその右側面部付近に佇立するか,そこを歩行していたというのには,合理的な疑いが残り,原判決が,そのことを根拠にして,被告人に過失が認められないとしたことに,論理則,経験則に反するところはない。さらに,被告人は,本件車両を発進させるに際して,右サイドミラーで後方を確認する注意義務を尽くしているということができるから,その点からも被告人に過失は認められない。原判決が「当裁判所の判断」において認定し説示するところは,概ね正当として是認できるのであって,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認はない。以下,その理由を説明する。 1前提事実
原審で取り調べられた証拠によれば,事故現場の状況及び事故の態様について,次の事実を認めることができる。
事故現場及び本件車両の状況
本件事故の現場は,南北に通じる片側1車線道路の西側路側帯内であり,路側帯のさらに西側には用水路がある。
本件車両は,車幅2.49m,車長11.96mであり,運転台と荷台前方の2か所に左右それぞれ1本ずつの前輪(運転台のものを「前前輪」,荷台前方のものを「前後輪」という)が,荷台後方の2か所に左右それぞれ2本ずつの後輪(前方のものを「後前輪」,後方のものを「後後輪」という)がそれぞれ装着されている。後前輪及び後後輪の外側は,(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/882/087882_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87882