【下級裁判所事件:傷害致死被告事件/大津地裁/平30・5・1 7/平29(わ)505】

概要(by Bot):
本件は,同様の類型の犯罪の中でも,重い評価を受ける部類の事案であると認められる。
2非難を抑えることのできる事情の検討として,判示の精神疾患の影響を吟味したが,明確な記憶に基づいている被告人の公判供述と,これと整合する被害者の受傷状況等の関係証拠の内容によれば,犯行時の被告人の状況認識に不確かなところはないと認められる。また,暴行の機会や対象の人物,対象の部位のほか,差し当たり敷布団の上に被害者を放り投げるなどの抑制が及んだ行為のいきさつなどに照らし,不合理な経過で見境のない行為が行われたものともいえない。犯行直後に携帯電話機で妻に連絡を取っている場面などにも,精神面の不具合が強かった痕跡は見当たらない。精神疾患の影響が大きく働き,よって犯行が行われたものとはいえず,この点で酌量に値するものがあるとはいえない。
3被害者の発達の遅れが被告人の心理を圧迫し,余裕を失わせた可能性も吟味したが,被告人は前々からこの養育上の問題に向き合っていたと認められ,公的機関や保育所から支援が差し伸べられてもいたから,唐突に窮地に陥ったとはいえない。寝起きの状態であったという本件時,この点の問題が被告人を追い詰めることになったとは考えられず,むしろ,支援を受けることを是としなかった被告人自身の見通しの甘さや,そのような被告人が妻の入院によりひとり家庭に残され,幼子二人の世話をしなければならなくなったことなどの事情の介在が,本件につながったと考えられる。特に,この事情の介在が,被告人の持病の症状と相まって感情を高ぶらせ,衝動的に犯行に及ぶことになった側面もあるから,非難を抑える観点で考慮したが,既に述べた犯行時の様子等に照らし,非難を大きく抑えることのできる位置付けとするには至らなかった。 4そこで,検察官の科刑意見にいうほどの評価ではないものの,被告人は,以上のとおりの吟味(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/919/087919_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87919