【下級裁判所事件:殺人未遂被告事件/大津地裁/平30・6・1 8/平30(わ)16】

主文(by Bot):
被告人を懲役2年6月に処する。未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
理由
【罪となるべき事実】
携帯電話機の修理業を営むもやがて閉店していた被告人は,共に事業に携わった従業員である被害者から未払給与として200万円の支払を求められ,別の就業先からの収入によりその支払を分割して続けていた。しかし,支払が遅れがちになり,同人から責められるうちに被告人は追い詰められる心境に陥った。被告人は被害者との関係から逃れたいと考え,そのために同人に毒物を摂取させることを企て,インターネットで金属水銀の知識に触れ,これを気化させて得られる毒性の強い蒸気を吸入させる方法を思い立った。そこで,被告人は,金属水銀入りの物品を注文して購入し,取り出した液状の金属水銀を,加熱式たばこ用のたばこスティック20本に各注入しておいた。実行するか否か逡巡していた平成29年5月末頃,前記被害者から車内で前同様に責められた折,言い訳をするななどと言われて口にガムテープを貼られるなどした被告人は,一層追い詰められるとともに憤まんの情を募らせ,上記方法で被害者を殺害する決意をした。よって,被告人は,平成29年6月3日午後10時55分頃,滋賀県栗東市所在のマンション付近路上に駐車中の車両内で,相手方を死亡させる危険性が高い行為をする認識,すなわち殺意をもって,上記20本を被害者(当時36歳)に手渡し,それらを加熱式たばこで喫煙に供するよう仕向け,これに応じた同人において,以後同月4日午後3時56分頃までの間,同車両内ほか4か所で,上記20本のうちの14本を1本ずつ喫煙して水銀蒸気を吸入するに至らせたが,同人が同スティック内の異物混入に気付いて喫煙をやめたため,同人に全治不明の水銀吸引による味覚障害を負わせたにとどまり,殺害の目的を遂げなかった。 【量刑の理由】
1本件の殺人未遂は毒殺の方法であり,幾(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/920/087920_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87920