【下級裁判所事件:殺人,現住建造物等放火被告事件/大 高裁1刑/平29・3・2/平24(う)794】

裁判所の判断(by Bot):

原審裁判所の上記措置に,所論のような違法があるとは認められない。その理由は以下のとおりである。
?本件実況見分調書2通について所論は,本件では,本件灰皿内から発見された本件吸い殻の着色や形状の原因が重要な争点となっているところ,本件実況見分調書2通は,たばこの吸い殻の着色が時間的経過によって進展しないこと,又は,本件灰皿内において,本件吸い殻がその形状になった状況,及び,その状況が本件灰皿内の残留物の状況と整合することを端的に示す証拠であるから,取調べの必要性があった旨主張する。しかし,所論はいずれも採用できない。すなわち,ア吸い殻放置実況見分調書について原審検察官は,吸い殻放置実況見分調書により,「たばこの吸い殻は携帯灰皿内の乾燥した状態下では1年間放置しても巻紙が変色せず,本件吸い殻の変色の原因は,喫煙時に唾液や飲食物の水分等により濡れたためであること」を立証しようとしたものと解される。これに対して,原判決は,これを却下した理由として,期日間整理手続における双方の主張を前提に検討すると,本件灰皿に投棄された後に巻紙の経年劣化以外の理由で本件吸い殻に変色が生じた可能性を否定できない状況にあり,この経年劣化以外の理由による変色の可能性いかんがこの問題の中心的争点であることが明らかであったので,本件吸い殻の変色の原因が巻紙の経年劣化によるものでないことを立証するため同調書等は取り調べる必要はないと判断したと判示している。しかし,本件灰皿に投棄された後の経年劣化以外の理由による変色の可能性いかんが中心的争点であったとしても,その前提として,吸い殻が経年劣化を原因として変色することがあるかどうかは重要な事柄であるから,原判決が上記のような理由で同調書を却下したことには疑問の余地がある。もっとも,本件では,警察官や日本たばこ産業株式会社関係者によ(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/654/086654_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86654