【下級裁判所事件:業務上横領/東京高裁11刑/平29・8・4/平 28(う)414】結果:破棄自判

裁判所の判断(by Bot):

原判決の判断は正当であり,D3が本件1億円の送金について認識,承諾していた可能性があるとした結論に誤りはない。これに対し,検察官は,本件1億円の送金をD3が知っていたか否かに関する直接証拠は,D3の供述と被告人A3の供述しかなく,どちらの供述が信用できるかということで認定するほかないとした上で,原判決が,D3供述の信用性を否定する根拠とした点について,次のとおり主張する。すなわち,D1の業務日報(原審弁9)について,6月22日の記載には,「渡した」という記述がないから,D1は,同日,D3から2社団の通帳を見せて欲しいと依頼されて,Bに行ったものの渡していないとみるのが自然であり,また,7月5日の記載には「本日」お渡ししましたと記載されているから,その日に依頼があったことをその日に実行したのではなく,数日前に依頼され,数日来課題になっていたことが「ようやくその日になって解決した」という意味だと読むのが自然である。そして,D3は,6月29日にはC5社への支払が終了し,2社団の通帳を確認したいという動機が既になくなっていたことから,実際には通帳を見ることがなく,その結果,J協会の通帳を見たことがないという記憶になったとしても不思議ではない。6月27日にD3が送信した2通のメールは矛盾しているわけではない。すなわち,被告人A3宛に送信したメール(メール?)は,C5社への支払のための資金移動を指示した内容のものであり,他方,各拠点の担当者宛に送信したメール(メール?)は,以前からD3が管理部からの依頼に基づいて行っていた,支払用資金の移動に関する指示に過ぎない。これは,D3が考えて出した指示ではなく,被告人A3ら管理部からの要求をD3の指示の形にしたに過ぎず,D3自身が矛盾した指示をしたというわけではない。D3としては,月末に取引先からの支払(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/032/087032_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87032