裁判所の判断(by Bot):
当裁判所は,本願発明は,引用発明,引用例2に記載された事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項により特許を受けることができないとした審決の判断に誤りはないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1 取消事由1(相違点1に係る容易想到性判断の誤り)について
(1)審決が認定した本願発明と引用発明との相違点1は,前記第2の3(2)ウ(ア)のとおり,本願発明では,ペプチド活性成分が,「デスモプレシン酢酸塩」と特定されているのに対し,引用発明ではそのような特定がされていない点である。
この点に関し,引用例2には,以下の記載がある。すなわち,「本発明は,生理学的に活性なポリペプチド含有製剤に有機酸とショ糖脂肪酸エステルとの組合せからなる吸収促進剤を配合したことを特徴とする,該生理活性ポリペプチドの腸管からの吸収を促進させた生理活性ポリペプチド含有の経口投与用または口腔内投与用製剤に関する。」(段落【0001】),「・・・ポリペプチドを注射以外の方法で有効に投与する方法が種々検討されており,本出願人らもすでに経膣投与製剤について提案している。また経口投与についても検討されており,ショ糖脂肪酸エステルなどを配合した経口投与製剤も提案されているがなお吸収性の点で充分とはいい難い。」(段落【0003】),「本発明に使用する生理学的に活性なポリペプチドとは比較的低分子量のポリペプチドを言う。本発明に使用できる生物学的に活性なポリペプチドの好ましい例示としては,インスリン,アンギオテンシン,バソプレシン,デスモプレシン・・・およびこれらの誘導体が挙げられる。」(段落【0007】)との記載がある。
上記引用例2の記載によれば,生理活性ポリペプチド含有の経口投与用または口腔内投与用製剤に使用できるポリペプチドは,比較的低分子量のものであればよく,そのようなものの一つとしてデスモプレシンが周知であったことが認められる。そうすると,ペプチドを活性成分とし,口腔内で分散させる,すなわち口腔内投与される引用発明の製剤において,活性成分のペプチドとしてデスモプレシンを使用することは容易であったといえる。
したがって,相違点1に係る構成は,引用発明に引用例2に記載された事項及び周知技術を適用することにより,容易に想到できたといえる
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120629152925.pdf
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