概要(by Bot):
本件は,被告人が平成22年1月下旬ころから同年2月5日までの間に,東京都内,千葉県内又はその周辺において,覚せい剤を自己の身体に不正に摂取したとして,覚せい剤取締法違反罪に問擬された事案であるところ,原判決が「犯罪事実」及び「補足説明」の「2被告人の覚せ
い剤使用の事実について」において認定,判示するところは,当裁判所もおおむね正当として是認することができる。そして,当審における事実取調べの結果によっても,前記認定は左右されない。
所論は,尿の鑑定書を作成したAが行った薄層クロマトグラフィー試験,シモン反応及びマルキス反応は,いずれも定性試験であるから,同人の原審証言中の被告人の尿の濃度が中位であったとする部分は,科学的根拠を欠き,信用し得ないと主張する。しかしながら,薄層クロマトグラフィー試験は基本的に定性試験ではあるけれども,弁護人作成の報告書(当審弁1)に添付された文献にも「覚醒剤を多量に使用していれば呈色反応は濃く出る」と記載されているとおり,同試験によって,全く量的なものを判定し得ないというものではない。かえって,報告書(当審検1)によれば,警視庁科学捜査研究所においては,鑑定のためのサンプルを作成し,薄層クロマトグラフィーの発色の度合いとスポットの幅を検討した結果,尿中の覚せい剤が1000マイクログラム以上の「濃い」,1000ないし100マイクログラムの「中程度」,100マイクログラム未満の「薄い」の3段階に分類し,覚せい剤の鑑定を行う薬物鑑定員は,この分類方法とそれぞれの経験に基づき,当該尿の覚せい剤の濃度を判断していることが認められるから,同研究所の薬物鑑定員である前記Aの本件における鑑定もその手法によるものであり,原判決認定のとおり,同人には数多くの尿中覚せい剤の鑑定を行ってきた経験があることに照らすと,同人の原審証言の前記部分に科学的(以下略)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110830133319.pdf
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