【特許権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平23・7・27/平22(行ケ)10352】原告:大塚製薬(株)/被告:特許庁長官

裁判所の判断(by Bot):
当裁判所は,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消すべき違法はないものと判断する。その理由は以下のとおりである。
1 取消事由1(本願発明の容易想到性の判断の誤り−周知技術の認定の誤り)について
(1)原告は,審決が,刊行物2のみに基づいて,技術常識ないし周知技術として,「アルキル化剤として,p−メチルベンゼンスルフォナートより,o−ニトロベンゼンスルフォナートの方が優れていることが周知といえる。」と認定したことは誤りである旨主張する。しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
ア まず,刊行物2には,「10.3.4スルホン酸エステルの反応」として,「スルホン酸エステル(R’SO2−OR”)はR’とR”の性質によって熱や加水分解などに対する安定性が大きく異なる.加水分解はアルキルエステルのほうがアリールエステルより容易に起こる.アルキルエステルの加水分解は,SN1およびSN2型のC−O結合開裂で進む.それゆえアルキルエステルの有用性は脱離基としてのスルホナートアニオン(R’SO3−)にあり,アルコール性水酸基がとり込まれるためメタキシレン42などのアルキル化剤としてよく用いられる.しかもハロゲン化アルキルに比べ,脱離生成物に対する置換生成物の比率が大きい特徴をもっている.そのうえ,n−アルキルエステルの場合でも転位生成物を与えない.トリフルオロメタンスルホナート(triflate基)は特に良好な脱離基であり,MeOSO2CF3はMeOSO2−p−Tolよりも104倍も速くアセトリシスを受ける.o−ニトロベンゼンスルホナートもトシラートより優れた脱離基である.」との記載がある。上記記載によれば,「スルホン酸エステル(R’SO2−OR”)」の加水分解により,アルコール性水酸基が取り込まれ,「スルホナートアニオン(R’SO3−)」が脱(以下略)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110728103002.pdf



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