裁判所の判断(by Bot):
当裁判所は,本件出願に対し,本件先行処分があったことを理由として,本件発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないとした審決の判断には,特許法67条の3第1項1号の解釈・適用の誤り(取消事由1)があり,その誤りは,審決の結論に影響するから,審決を取り消すべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
従来,先行処分がされた後に,さらに処分(後行処分)がされ,後行処分があったことを理由とする延長登録の出願の可否が争われた事案においては,仮に先行処分を理由として存続期間が延長された場合(なお,本件においては,先行処分に基
28づく存続期間の延長はされていない。甲13参照)には,その特許権の効力がどの範囲まで及ぶかという観点を踏まえて検討されてきた。本件においても,例外ではなく,審決は,特許法67条の3第1項1号の解釈に当たっては,同法68条の2の規定と整合させるべきであるなどとして,結論を導いている。しかし,仮に先行処分を理由として存続期間が延長された場合に,特許権の効力がどの範囲まで及ぶかという論点は,特許法67条の3第1項1号の要件の充足性(特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であったか否か)と,常に直接的に関係する事項であるとはいえない。むしろ,本件を含む,特許権の存続期間の延長登録の出願を拒絶すべきとした審決の判断の当否を検討するに当たっては,拒絶すべきとの査定(審決)の根拠法規である特許法67条の3第1項1号の要件適合性を検討することが必須である。そこで,この観点から検討する。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110328163347.pdf
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