【行政事件:生活保護開始仮の義務付け決定に対する即時抗告事件(原審・那覇地方裁判所平成21年(行ク)第7号)(基本事件・那覇地方裁判所平成21年(行ウ)第26号生活保護開始申請却下取消等請求事件)/福岡高裁那覇支部/平22・3・19/平22(行ス)1】分野:行政

裁判所の判断(by Bot):
(1)当裁判所も,相手方が,生活保護の開始決定がされないことにより,健康で文化的な最低限度の生活水準の維持も危ぶまれるほどの困窮状態にあったのに,処分行政庁が本件却下処分をしたことには,裁量権の逸脱があったものと一応認められ,かつ,上記のような困窮状態にかんがみれば,本件申立てには,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性があるものと判断する。
 その理由は,原決定に記載のとおりであるから,これを引用する。
(2)抗告人は,相手方が亡父の遺産(不動産)を取得する権利があると主張する。
 しかし,上記不動産は,既に他人名義となっているのであるから(疎乙4ないし7(枝番を含む)),そもそも相手方が取得し得るものか否かが明らかではない。仮にその点を措くとしても,不動産の現金化には一定の期間を要するのが通例であるから,抗告人の上記主張を前提としても,上記の緊急の必要性が否定されることになるものではない。
 また,抗告人は,相手方が年金担保貸付けを利用したり借金等をしていたのに,その事実を秘匿していたことを指摘する。
 確かに,相手方は,金銭管理等が適切さを欠く上,生活保護を申請する者として誠実さを欠くと指摘されてもやむを得ない面もないではないが,相手方の上記困窮状態にかんがみれば,上記の裁量権の逸脱が直ちに否定されるものではない。
3 結論
 以上のとおりであるから,本件申立ては,原決定の範囲で生活保護を仮に開始することを命ずる限度で理由がある。よって,これと同旨の原決定は相当であり,本件抗告は理由がないから棄却することとし,主文のとおり決定する。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101202132058.pdf



<裁判所ウェブサイト>
掲載ページ
<報道>
MSN産経ニュース(原審):生活保護開始命じる決定 「仮の義務付け」那覇地裁(2010.2.13)
沖縄タイムス(原審):生活保護開始を命令 那覇市に仮の義務付け 却下取消訴訟で地裁(2010.2.13)
<関連ページ>
コラム:生活保護の開始「仮の義務付け」の初めての決定-菊池捷男弁護士(山陽新聞社「マイベストプロ」)
<検索>
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