【特許権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平22・10・25/平22(行ケ)10270】原告:(株)YCF/被告:特許庁長官

裁判所の判断(by Bot):
 上記第2の事実に照らすと,株式会社アイ・アイ・ピーが破産手続開始決定を受けたことにより審判手続は当然に中断し(破産法46条,44条1項),また,同社と原告株式会社YCFは共同して拒絶査定不服審判請求を行ったのであるから,共同審判請求人の一人である株式会社アイ・アイ・ピーについて生じた中断は,請求人全員についてその効力を生じている。そうすると,本件審判手続の審理を担当する審判官は,同社と原告株式会社YCFの両社について審判手続が中断したまま審決をしたものであるから,本件審決は,重大かつ明白な瑕疵があるものとして無効ということになる。
 無効な審決であっても,審決が成立し,送達された外観が形成されている以上,これを排除するため,審決の取消訴訟提起が可能な場合もあり得るが,その場合であっても,株式会社アイ・アイ・ピーの財産に関する管理処分権を有しているのは破産管財人であるから,破産管財人が株式会社YCFと共同で審決取消訴訟を提起すべきである。
 しかるに,本件訴訟は,原告の一人として,破産管財人ではなく管理処分権を有しない破産会社である株式会社アイ・アイ・ピーの前代表取締役を代表者とし,当然のことながらその訴訟代理人になり得ない弁理士3名を訴訟代理人と表示して提起されたものであるから,全体として不適法であり,その不備を補正することができないものである。
 よって,口頭弁論を経ないで本件訴えを却下することとし,弁理士井澤洵,井澤幹及び茂木康彦の訴訟費用の負担について民事訴訟法70条,69条2項を適用して,主文のとおり判決する。
 なお,特許庁審判官は,審理終結後であったとしても,破産管財人に審判手続を受継させて本件審決を破産管財人に送達するか,又は本件審決が無効であることを前提にして,破産管財人に審判手続の受継をさせて,新たな審決をするかを,破産管財人の意向も聴取した上で判断すべきである。

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