【下級裁判所事件/神戸地裁1刑/平22・1・5/平21(む)2527】

裁判所の判断(by Bot):
本件公訴事実は,暴力団組長である被告人が,配下の暴力団組員らと共謀の上,上部組織を同じくする暴力団組長を殺害したというものであるところ,本件事案の内容・罪質に照らせば,被告人の防御権を行使するために,被告人及び弁護人において,本件の共犯者とされるB,C,D,E及びFの各供述調書(以下「本件各供述調書」という。)を十分に検討する必要があり,弁護人が上記各供述調書を謄写する必要性は高いといえる。しかしながら,検察官の主張するとおり,本件は極めて組織的に行われた暴力団内部の抗争事件であると考えられる上,被告人が,検察官の取調べにおいて,本件犯行への自己の関与を供述した共犯者やその家族を殺害する旨の供述をしていたことなども考慮すると,その供述が多少誇張したものであるにせよ,本件各供述調書の謄写を無条件に認めれば,その謄写物や写しを入手した暴力団関係者らによって,未検挙の共犯者の隠避を図るなどの罪証隠滅行為や,組織に不利な共犯者らの証言を阻止するためにその家族らの生命身体等に危害を加えるなどの証人威迫行為が行われるおそれがあり,上記証拠の開示によって生じる弊害は大きいと認められる。したがって,上記諸事情にかんがみれば,本件各供述調書の謄写に際して,主文の条件を付するのが相当である。
よって,検察官の請求には理由があるので,刑訴法316条の25第1項により,主文のとおり決定する。

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