要旨(by裁判所):
前件の住居侵入,強盗殺人等により無期懲役に処せられ,受刑中であった被告人が,前件のわずか13日後に同種の住居侵入,強盗殺人に及んでいたとして起訴された事案において,検察官は死刑を求刑し,弁護人は無期懲役の科刑意見を述べていたところ,
(1)本件量刑における前件の位置付けについて,本件は「併合の利益」が認められるような事案ではなく,むしろ「併合の不利益」が想定される事案であることから,前件を本件との併合罪関係から評価し直し,統一刑としての死刑を念頭に置いて,本件につき死刑を選択するというような思考方法を採ることは憲法39条が定める二重処罰の禁止に抵触して許されないが,
(2)被告人の性格・経歴や,本件犯行の動機・目的・方法等の情状推知資料としての限度で前件を考慮することは当然に許されるとした上で,
(3)これを含めた本件の犯情・一般情状を総合するとともに,いわゆる永山事件判決後,被害者1名を殺害した強盗殺人の事案で死刑が確定している事例との対比の観点を踏まえて,量刑を検討すると,本件について死刑を選択することにはなお躊躇を覚えざるを得ないとして,無期懲役を言い渡した事例