裁判所の判断(by Bot):
当裁判所は,以下のとおり,原告主張の取消事由には理由がないものと判断する。
1原告は,審決が,本願発明の細胞は,生体外で単離された複数の細胞であり,継代培養された細胞ではないのに対し,引用例発明の細胞は,細胞培養物内で継代培養される必要があるとの相違点を看過した旨主張する。しかし,本願発明は,上記第2の2のとおりのものであって,使用する細胞は,「生体外で単離された哺乳類の複数の細胞」である。そして,その細胞の培養履歴については特定がないので,継代培養されたものもされていないものも含むと解するべきである。したがって,原告の主張は,その前提を誤っており,採用できない。
2原告は,審決が,本願発明は,疾患として「括約筋構造の機能不良,脂肪沈着(セルライト)の存在,異常に肥大した傷跡,真皮欠陥,皮下欠陥,筋膜,筋肉,皮欠陥,皮膚薄弱化,皮膚弛緩,火傷,傷,ヘルニア,靭帯破裂,腱破裂,禿頭,歯周の不調,歯周の病気,及び胸部組織の欠陥」を特定しているのに対し,引用例発明は,それが具体的に特定されていないとの相違点を看過した旨主張する。しかし,審決の認定した本願発明と引用例発明との相違点は,上記第2の3の
(2)ウのとおりであり,欠陥(欠損)に関する相違点は認定されているから,原告の主張は失当である。なお,引用例には,引用例発明における治療の対象である「笑いじわ(鼻唇ひだ),口周囲のしわ,眉間の溝,陥没瘢痕,口唇形成不全,及び光線性頬しわ」という欠損以外に,「非外傷性の皮膚の陥没」に対しても,下部隣接組織内に懸濁物(すなわち,自己の皮膚繊維芽細胞)を注入して修復できることが記載されている。ここで,技術常識及び「陥没」の語義からして,「非外傷性の皮膚の陥没」は,皮膚に外傷はなく,表皮,真皮,皮下組織のうち少なくともいずれかに欠陥がある状態やその部位の皮膚が薄くな(以下略)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130404102129.pdf
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