要旨(by裁判所):
1憲法は,選挙権の内容の平等,すなわち投票価値の平等を要求していると解される。不断に生ずる人口変動の結果,投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解するのが相当である。この合憲性判断基準としての意味内容は,平成24年大法廷判決の判示のとおり,厳格なものに変わってきている。
2本件選挙当時の最大較差は1対4.77であり,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態に至っていたというべきである。その是正のためには,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じる必要がある。
3国会は,平成21年大法廷判決が言い渡された平成21年9月30日の時点で,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要であることを認識したというべきである。国会が,平成21年大法廷判決及び平成24年大法廷判決の趣旨に沿った現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講ずるためには,二院制の下での参議院の在り方を踏まえた上,選出基盤や選出方法を含めた様々な選択肢の得失を検討し,合意を形成していく必要があり,その検討及び合意形成のために多くの時間を要することは,認めざるを得ず,本件選挙までに憲法上要求される較差是正のための合理的期間が経過したものとは認められない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131220110131.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83826&hanreiKbn=04