要旨(by裁判所):
運転免許の取消処分は,道交法及び道交法令の基準通りの処分を行うことが被処分者の道路交通上の危険性の度合いに照らして著しく重きに失すると認められる場合(比例原則違反)には,裁量権の逸脱又は濫用として違法になることもあり得ると解される。そして,救護義務発生の要件はかなり広いことから,その違反経緯及び態様には様々なものがあり得るところ,特段の事情があって,悪質かつ危険とまでいえないごく軽微な救護義務違反である場合には,例外的に免許取消処分をしないことも許容していると解される。
本件事故における原告の救護義務違反については,前提となる本件事故の責任はCのみにあって原告の道路交通上の危険性は著しく小さく,また,違反の態様においても危険運転致傷や酒酔い運転と同程度の悪質性を認めることは到底できないのであって,本件では,前記の特段の事情があるといえ,原告に対する運転免許の取消処分は,道路交通上の危険性の度合いに照らして著しく重きに失するというべきであって,本件のような限定的事案においては,裁量権の濫用(比例原則違反)として違法になる。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140217104325.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83950&hanreiKbn=04