【高裁判例:東京高裁10刑平25・6・20:住居侵入,強盗殺人被告事件/平23(う)773】結果:破棄自判

判示事項(by裁判所):
被害者1名の強盗殺人の事案につき二人を殺害するなどした前科を重視して被告人を死刑に処した原判決が量刑不当として破棄された事例

要旨(by裁判所):
金品を強奪する目的で,被害者方へ侵入し,室内で寝ていた被害者の首を包丁で突き刺して殺害した被告人の犯行は,強固な殺意に基づく冷酷非情なものであるが,妻子二人を殺害して懲役20年に処せられた前科を除けば,被害者が1名であり,被害者方への侵入時には殺意があったとは確定できない本件が,死刑を選択するのが相当な事案とはいい難く,被告人の前科は無期懲役刑に準ずるような相当長期の有期懲役刑で,被告人はその刑の執行を終了しており,前科の事案が夫婦間の口論の末の殺人とそれを原因とする無理心中であって利欲目的の本件強盗殺人とは社会的にみて類似性は認められないことなどを考えると,一般情状である前科を重視して死刑を選択することには疑問があり,原判決には人の生命を奪った前科があることを過度に重視しすぎた結果,死刑の選択もやむを得ないとした誤りがある。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140219092054.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83954&hanreiKbn=03