【特許権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平26・7 17/平25(行ケ)10245】原告:ザ・エスエフ・マテリアルズ・/被 :特許庁長官

裁判所の判断(by Bot):

当裁判所は,原告主張の取消事由3及び4には理由があり,審決は取り消されるべきと判断する。その理由は,次のとおりである。
1取消事由3について
(1)「脱硫」の語義
本願発明は,上記第2のとおりの「脱硫方法」である。当業界において「脱硫」という技術用語は,一般に,加硫ゴムの網目構造を崩壊させ,ゴム分子の解重合によって可塑性を与えることとされているが,より詳細には,油
性溶剤を用いて処理する工程(オイル法,パン法),アルカリ溶液を用いて処理する工程(アルカリ法),中性溶液を用いて処理する工程(中性法)など,加硫ゴムの網目構造崩壊のための化学的処理のみを「脱硫」と称して,その後に可塑性や粘着性を高めるために行うすりつぶしなどの機械的処理(仕上工程,Refining)とは区別し,化学的処理及び機械的処理の両方を行い,再利用可能なゴムにすることを「再生」と称する場合,化学的処理のみならず機械的処理も「脱硫」と称する場合,油性溶剤を用いて処理する工程(パン法など)を「化学的再生処理」と称し,化学的処理と機械的処理を一体の工程として「脱硫」又は「脱硫再生」と称する場合,化学的処理に用いる溶液を「再生剤」と称し,化学的処理と機械的処理を一体の工程として「再生」と称する場合などがある上,行われる処理や条件の違いによってゴムが受ける分子的な変化(硫黄架橋結合の切断とゴム分子主鎖の炭素結合の切断の程度など)が異なる結果,処理後のゴムの性質が異なるものである。 (2)本願明細書における脱硫
このように,「脱硫」,「脱硫再生」,「再生」の意味する技術的範囲は必ずしも一義的なものではないので,まず,本願明細書における「脱硫」の意味について検討する。 ア本願明細書においては,「脱硫」について特段の定義はされていないものの,次のとおりの記載がある。
「【技術分野】【0001】本開(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140722132751.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84332&hanreiKbn=07