【特許権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平26・8 7/平25(行ケ)10171】原告:(株)シンクロン/被告:(株)オプトラ

裁判所の判断(by Bot):

事案の内容に鑑み,取消事由2から判断する。
1取消事由2(相違点2に係る新規性判断の誤り)について
(1)甲1論文におけるドーム及び基体の回転の有無について原告は,イオンが常時照射か間欠照射かは主題に関する重要な項目であるから,回転に関する直接的な記載がない場合には,ドーム及び基板は回転していないものと解するのが相当であると主張する。ア甲1論文の記載内容甲1論文は,本件特許の出願日より前の平成8年10月に刊行された,「イオンアシスト蒸着により作製したZrO2薄膜の光学的不均質性と微細構造」と題する論文である(以下の訳文は甲4号証による。)。甲1論文には以下の記載がある。「一般的に,光学薄膜は材料融点に比べて比較的低い基板温度で成膜し,蒸発粒子が基板上で凝縮するとき熱力学的に不安定である。低い熱エネルギーをもった到達粒子の移動度は,緻密な膜構造を達成するには不十分である。その結果,その光学薄膜は多孔質であり,柱と空隙からなる柱状微細構造を有する。この柱状微細構造は光学特性の変化,真空−空気スペクトルシフト,異方性,及び低充填密度のような多くの好ましくない影響をもたらす。従って,薄膜の光学的特性及び機械的特性は,対応するバルク材料に比べて劣る。ZrO2は硬く,耐久性があり,電子ビーム照射により容易に蒸発させることができるので,光学多層膜の高屈折材料としてよく用いられる。しかし,ZrO2薄膜の光学的特性は,基板温度,蒸着速度,酸素分圧,及び薄膜作製方法のような蒸着条件に依存する。また,ZrO2薄膜の
21屈折率は薄膜の成長とともに不均質になる。即ち,空気に隣接した薄膜の屈折率が基板周辺より小さくなること,が知られている。」(訳文1頁20行〜30行(空白行を含む。以下同じ。))「イオンアシスト蒸着(IAD)法は,付加的なイオン源からの高エネルギーイオンビ(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/371/084371_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=84371