判示事項(by裁判所):
平成25年7月21日施行の参議院(選挙区選出)議員通常選挙について,東京都選挙区等の選挙人において,公職選挙法14条1項,別表第3による選挙区及び議員数の規定が,憲法の保障する人口比例選挙に反し,投票価値の平等に反して無効であるから,これに基づき施行された前記選挙も無効であるとしてした選挙無効請求が棄却された事例
要旨(by裁判所):平成25年7月21日施行の参議院(選挙区選出)議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)について,東京都選挙区等の選挙人において,公職選挙法14条1項,別表第3による選挙区及び議員数の規定が,憲法の保障する人口比例選挙に反し,投票価値の平等に反して無効であるから,これに基づき施行された本件選挙も無効であるとしてした選挙無効請求につき,本件選挙は,最高裁平成24年10月17日大法廷判決(以下「平成24年判決」という。)が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたと判示した平成22年7月施行の参議院議員通常選挙時の最大較差1対5.00から,単に4増4減の改正が行われて最大較差1対4.77とされたのみで,平成24年判決とほとんど変わらない状況の下で実施されたのであるから,本件選挙においても,投票価値の不均衡が投票価値の平等の重要性に照らして看過し得ない程度に達していることが明らかであり,これを正当化すべき合理的理由も認められないから,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったというべきであるが,選挙制度の枠組みの見直しに関しては,国民の間にも様々な利害や意見があり,参議院ひいては二院制の在り方をも踏まえた高度に政治的判断が求められるなど課題が多く,その検討には相応の時間を要することに加え,平成21年9月30日最高裁大法廷判決は最大較差1対4.86であった平成19年施行の参議院議員通常選挙を合憲とし違憲状態との説示もしていないこと,平成8年9月11日最高裁大法廷判決以降最高裁が参議院議員選挙に関して違憲状態を指摘し,参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難いとした上,都道府県を選挙区の単位とする仕組みの見直しの必要性を具体的に指摘したのは平成24年判決が初めてであり,同判決から本件選挙までは約9か月しかなかったこと,平成20年以降,参議院改革協議会や選挙制度改革検討会等を通じて選挙制度の仕組み自体の見直しも含めた検討が継続的に進められ,平成24年8月に国会に提出された参議院議員定数配分規定の改正案では,平成28年の参議院議員通常選挙に向けて選挙制度の抜本的見直しを検討し,結論を得ることが附則として明記され,その改正案が平成24年11月に可決されたこと,平成24年判決は当該附則の規定をも考慮して前回参議院議員選挙を違憲としなかったこと等を総合考慮すると,本件選挙の時点において,都道府県を単位とする選挙区の点も含めた選挙制度の枠組み自体を見直すのに必要な合理的期間は未だ経過していないというべきであり,本件選挙までの間に選挙区及び議員数の規定を改正しなかったことが,国会の裁量の限界を超えるものとはいえず,同規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとして,前記請求を棄却した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/409/084409_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84409