【高裁判例:大阪高裁13民平26・2・27:損害賠償,民訴260 2項に基づく仮執行の原状回復及び損害賠償請求事件/平25(ネ)23 34】結果:その他

判示事項(by裁判所):
1壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物が遅くとも昭和63年2月頃には通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになったとされた事例
2壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の所有者兼賃貸人が民法717条1項にいう「占有者」に当たるとされた事例

要旨(by裁判所):
1壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物で昭和45年から平成14年まで勤務していた者が勤務中にアスベスト粉じんにばく露したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患した場合において,昭和62年中に全国紙が相次いで吹付けアスベストの危険性を報道し,これに呼応して各地で吹付けアスベストの除去工事が行われるようになったこと,建設省が同年11月に建築基準法令の耐火構造の指定から吹付けアスベストを削除したこと,環境庁・厚生省が昭和63年2月に都道府県に対し,吹付けアスベストの危険性を公式に認め,建物所有者への指導を求める通知を発したことその他判示の事実関係の下においては,遅くとも上記通知が発せられた昭和63年2月頃の時点では,上記建物は通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった。
2壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の賃借人の従業員として同建物で勤務していた者が勤務中にアスベスト粉じんにばく露したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患した場合において,同建物の所有者兼賃貸人が,賃貸借契約において,管理上必要があるときに同建物に立ち入り,必要な措置を執る権限を認められる一方,同建物の維持管理に必要な修繕義務を負っていたことその他判示の事実関係の下においては,所有者兼賃貸人は,賃借人の従業員に対する関係において,民法717条1項に基づく責任を負うべき同建物の「占有者」に当たる。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/413/084413_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=84413