【行政事件:仮の差止め申立事件(本案事件:当庁平成26年(行ウ )第92号,第94号,第95号,第96号,第97号運賃 変更命令差止等請求事件)/大阪地裁/平26・ 5・23/平26(行ク)58等】分野:行政

判示事項(by裁判所):

1一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長に届け出た運賃が特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活 性化に関する特別措置法16条1項に基づいて同局長が指定する運賃の範囲内にないことを理由として,同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令,同 法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止又は事業許可の取消しの仮の差止めの求めについて,その本案事件として提起された差止めの訴えが, 行政事件訴訟法37条の4第1項ただし書所定の「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」に当たらないと認められた事案
2一般乗用旅 客自動車運送事業者が,近畿運輸局長に届け出た運賃が特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する 特別措置法16条1項に基づいて同局長が指定する運賃の範囲内にないことを理由として,同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令,同法17条の3第1 項に基づく輸送施設の使用停止又は事業許可の取消しの仮の差止めの求めについて,行政事件訴訟法37条の5第2項所定の「償うことのできない損害 を避けるため緊急の必要」があると認められた事案
3一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長に届け出た運賃が特定地域及び準特定地 域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づいて同局長が指定する運賃の範囲内にないことを理 由として,同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令,同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止又は事業許可の取消しの仮の差止めの求めにつ いて,行政事件訴訟法37条の5第2項所定の「本案について理由があるとみえるとき」に当たるとされた事案

要旨(by裁判所):1一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長に届け出た運賃が特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業 の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づいて同局長が指定する運賃の範囲内にないことを理由として,同法16条の4第3項に基づく運 賃変更命令,同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止又は事業許可の取消しの仮の差止めの求めについて,次の(1)ないし(3)などの判示の事 情の下では,その本案として提起された差止めの訴えが,行政事件訴訟法37条の4第1項ただし書所定の「その損害を避けるため他に適当な方法があ るとき」に当たらないと認められる。
(1)運賃変更命令がされた場合には,その発令から15日経過後には同命令に違反したことを理由として初 違反で60日車の自動車等の使用停止処分が,再違反で事業許可取消処分がされ,1回目の運賃変更命令から2回目の運賃変更命令を経て事業許可取消 処分に係る聴聞手続が開始されるまでの期間も早ければ2か月程度である。
(2)運賃変更命令に違反して運賃を収受した場合には刑事罰が科さ れる。
(3)運賃変更命令に従わない場合には,短期間の内に同命令に違反したことを理由として自動車等の使用停止処分や事業許可取消処分に まで至るなど,短期間のうちに反復継続的かつ累積加重的な不利益処分を受ける。
2一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長に届け出 た運賃が特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づいて同局長が指定す る運賃の範囲内にないことを理由として,同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令,同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止又は事業許可の 取消しの仮の差止めの求めについて,次の(1)ないし(3)などの判示の事情の下では,行政事件訴訟法37条の5第2項所定の「償うことのできない損害 を避けるため緊急の必要」があると認められる。
(1)運賃変更命令がされた場合には,その発令から15日経過後には同命令に違反したことを理 由として初違反で60日車の自動車等の使用停止処分が,再違反で事業許可取消処分がされ,1回目の運賃変更命令から2回目の運賃変更命令を経て事 業許可取消処分に係る聴聞手続が開始されるまでの期間も2か月程度である。
(2)運賃変更命令に違反して運賃を収受した場合には刑事罰が科 される。
(3)運賃変更命令に従わない場合には,短期間の内に同命令に違反したことを理由として自動車等の使用停止処分や事業許可取消処分 にまで至るなど,短期間のうちに反復継続的かつ累積加重的な不利益処分を受ける。
3一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長に届け 出た運賃が特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づいて同局長が指定 する運賃の範囲内にないことを理由として,同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令,同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止又は事業許可 の取消しの仮の差止めの求めについて,次の(1)ないし(3)等の事情の下では,行政事件訴訟法37条の5第2項所定の「本案について理由があるとみえ るとき」に当たると認められる。
(1)近畿運輸局長が公示により定めた運賃の範囲(公定幅運賃)は,従前から定められていた自動認可運賃の 範囲を消費税率の変更等を考慮してスライドさせたもの。
(2)公定幅運賃の範囲は,自動認可運賃の下限を下回る運賃について,個別審査を経 た上で道路運送法9条の3第2項に定める基準に適合するものとして認可を受けて営業していた一般乗用旅客自動車運送事業者の利益を具体的にしん しゃくした上で定められたものとはうかがえない。
(3)公定幅運賃の範囲の上限及び下限を定める公示は,その前提となる事実の基礎を欠き, 社会通念に照らして妥当性を欠くものとして,近畿運輸局長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものである。

(PDF)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/706/084706_hanrei.pdf

(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84706