【特許権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平27・3 25/平26(行ケ)10096】原告:(株)明治/被告:特許庁長官

裁判所の判断(by Bot):

当裁判所は,原告の取消事由1の1(本願発明2に関する特許法36条4項1号に関する判断の誤り)及び1の2(本願発明2に関する特許法36条6項1号に関する判断の誤り)の主張には理由がなく,その余の点について判断するまでもなく本願は拒絶をすべきものであるから,審決にはこれを取り消すべき違法はないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1取消事由1の1(本願発明2に関する特許法36条4項1号〔実施可能要件〕に関する判断の誤り)について
(1)特許法36条4項1号は,発明の詳細な説明の記載は,「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」と規定している。したがって,同号に適合するためには,本願明細書中の「発明の詳細な説明」の記載が,これを見た本願発明の技術分野の当業者によって,本願出願(優先日。以下同じ。)当時に通常有する技術常識に基づき本願発明2の実施をすることができる程度の記載であることが必要となる。 (2)本願明細書の記載について
ア本願明細書によれば,本願発明の内容は,以下のとおりである。
本願発明は,液状食品の真空脱気処理において,溶存酸素濃度を低下させると同時に,香気成分の散逸量を制御する方法に関するものである(【0001】)。一般的には,液状食品を脱気する場合には,処理液の温度が高く,薄膜化の厚さ(液厚)が薄い程,あるいは微粒化の大きさ(粒径)が小さいほど脱気効率が良いものの,このような真空脱気処理では香気成分の散逸が避けられなかったため,従来技術では,液状食品の微粒化の大きさ(粒径)や,温度を制御するなどして,香気成分の散逸を防止しようとしていた(【0002】,【0003】,【0017】)。しかし,これらの従来技術でも,香気成分が散逸しないための具体(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/015/085015_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=85015