【行政事件:所得税更正処分取消等請求事件/東京地裁/平2 7・3・12/平25(行ウ)689】分野:行政

判示事項(by裁判所):
極めて多額の債務超過状態に陥っていて預金保険法74条1項の規定する管理を命ずる処分を受けた株式会社の株式が所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当しないとされた事例

要旨(by裁判所):株式会社が株式譲渡の前後を通じて極めて多額の債務超過状態に陥っていたため,当該株式会社の株主は,利益配当請求権,残余財産分配請求権等の自益権を現実に行使し得る余地がなくなっており,また,預金保険法74条1項所定の管理を命ずる処分がされたため,当該株式会社の株主は,一般的に株主総会における議決権等の共益権を現実に行使し得る余地を失っており,しかも,当該株式会社が後に解散して清算されることが予定されていたことからすると,株式譲渡の時点において,当該株式会社の株式は,一般的に,自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,その後に自益権及び共益権を行使することができるようになる蓋然性も認められなかったといえるから,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しない。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/227/085227_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85227