【下級裁判所事件:逮捕/神戸地裁1刑/平27・7・16/平27(わ)41 7】

概要(by Bot):
本件は,自宅で同居の家族を緊縛するなどした逮捕の事案である。その犯行に至る経緯等につき,Cは平成24年頃に転倒して頭を打って以来,明らかに様子がおかしくなって被告人らも認知症ではないかと疑っていたというのであり,被告人Bが中心となって被告人Aも手伝ってCを介護していたこと,また,
Cの言動により近隣から苦情を言われ,1度は引っ越しを余儀なくされるなどその対応に苦慮していたことは認められるものの,Cがそのような状態であったというのであれば,C自身のためにもしかるべき施設に入所させて療養を受けさせるなど適切な処置をすべきであったのに,その費用がないなどとして公的機関や親族等に相談すらせず,自宅で介護を続ける中で本件に至ったというのであるから,総じて,本件犯行に至る経緯や犯行動機等についても,大きく酌量すべき事情はないといわなければならず,被告人らの刑事責任を軽く見ることはできない。しかしながら,被告人両名ともにこれまで前科はなく,事実関係を認め反省の態度を示していること,被告人Aの元の雇用主が証人出廷し,社会復帰後の再雇用を約束していること,また,同様に被告人らの親族(被告人Bの兄で被告人Aの伯父)も今後の両名の更生に協力する旨述べていること等の事情がある。また,本件後,Cは死亡しているが,被告人らの行為との因果関係は不明であり,起訴もされていないのであるから,この点については当然ながら被告人らの刑事責任を問えるものではない。そうすると,本件については,それぞれの責任に応じて主文の刑を定めた上,今回に限りその執行を猶予することが相当である。(求刑−被告人A・懲役1年6月,被告人B・懲役1年)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/576/085576_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85576