要旨(by裁判所):
1東日本大震災の地震発生後,市である被告が設置し運営するとともに災害時の避難場所に指定していた小学校の体育館へ避難した住民らが津波に巻き込まれて死亡した事案において,同校の校長が,津波が事前に想定されていた大地震による津波浸水域を超えて同体育館に到達することを予見し得たとはいえず,避難住民を校舎の2階以上に誘導しなかったことについて過失は認められないとされた事例。
2東日本大震災の地震が発生し,市である被告が設置し運営するとともに災害時の避難場所に指定していた小学校の体育館へ避難した同校在籍の児童が,同校の校長により同級生の親に引き渡されて同児童の保護者不在の自宅に帰された後,津波に巻き込まれて死亡した事案において,同校長は,同児童を同級生の親に引き渡した時点で,同児童を引き渡して同体育館から自宅に帰宅させると,帰宅途中ないし帰宅後に津波に巻き込まれ,同児童の生命又は身体に危険が及ぶという結果を具体的に予見することができ,同校長には,同児童を引き渡すに当たり,津波により同児童の生命又は身体に危険が及ぶかどうかの安全を確認し,その安全が確認できない限り引き渡してはならないという注意義務に違反した過失が認められるとして,被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が認容された事例。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/832/085832_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85832