【労働事件:損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判 所平成21年(ワ)第34395号)/東京高裁/平27・12・10/平27(ネ)3401】 分野:労働

事案の概要(by Bot):
本件は,都立高校の教職員であった被控訴人らが,東京都教育委員会(都教委)が平成18年度,平成19年度及び平成20年度に実施した東京都公立学校再雇用職員採用選考又は非常勤職員採用選考等において,卒業式又は入学式の式典会場で国旗に向かって起立して国歌を斉唱することを命ずる旨の職務命令(本件職務命令)に違反したことを理由として,被控訴人らを不合格とし,又は合格を取り消した(本件不合格等)のは,違憲,違法な措置であるとして,都教委の設置者である控訴人に対し,国家賠償(慰謝料,逸失利益及び弁護士 費用)を求めた事案である。なお,以下では,略語は原判決と同じ意味に用いる。
2原審は,採用候補者選考の合否及び採否の判断に当たっての都教委の裁量権は,広範なものではあっても,一定の制限を受けると解するのが相当であり,本件不合格等の理由が著しく不合理である場合や恣意的である場合など,本件不合格等の判断が客観的合理性や社会的相当性を著しく欠く場合には,都教委による裁量権の範囲の逸脱又はその濫用として,当該判断は違法と評価されるべきであるとした上で,本件不合格等は,他の具体的な事情を考慮することなく,本件職務命令に違反したとの事実のみをもって重大な非違行為に当たり勤務成績が良好であるとの要件を欠くとの判断により行われたものであるが,このような判断は,本件職務命令に違反する行為の非違性を不当に重く扱う一方で,被控訴人らの従前の勤務成績を判定する際に考慮されるべき多種多様な要素,被控訴人らが教職員として長年培った知識や技能,経験,学校教育に対する意欲等を全く考慮しないものであるから,定年退職者の生活保障並びに教職を長く経験してきた者の知識及び経験等の活用という再雇用制度,非常勤教員制度等の趣旨にも反し,また,平成15年に発出された入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/903/085903_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail6?id=85903