要旨(by裁判所):
本件は,北海道労働委員会の労働者委員の候補者の推薦をした労働組合等及びその候補者である原告らが,北海道知事がした上記労働者委員の任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者のみを労働者委員に任命し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を排除する差別的なものであり,違法であると主張し,上記任命処分の取消しを求めるとともに,上記任命処分によって社会的信用と名誉の毀損等の損害を被ったと主張し,国家賠償を求めた事案である。
裁判所は,原告らは,いずれも,上記任命処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者に該当するということができず,上記任命処分の取消しの訴えについて原告適格を有するものではないとして,上記任命処分の取消しの訴えを却下し,また,上記任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を恣意的に選任し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を実質的に審査の対象としていなかったことを否定できず,労組法上の推薦制度の趣旨を没却するものとして,裁量権の逸脱,濫用にあたるといわなければならないが,労組法に規定する労働者委員の推薦制度は,専ら労働者一般の利益という公益の保護として認められたものであって,原告らについて,国賠法上保護されるべき権利又は利益が侵害され,損害が生じたと認めることはできないとして,国家賠償請求を棄却した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/100/086100_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86100