【下級裁判所事件:損害賠償請求事件/岡山地裁/平28・9・2 1/平25(ワ)985】

裁判所の判断(by Bot):

1争点
罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由の有無について
ア前記前提となる事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。B警部補は,平成25年6月10日,原告の運転免許証の写真を入手した上で,本件事件の際の本件犯人が映った防犯カメラの画像を見比べ,双方に写っている者が似ていると判断した。C顧問は,同月13日,本件警備員室に到着したB警部補に対し,原告が本件事件の犯人で間違いない旨発言した。原告は,本件警備員室で警察官から同年5月7日付けの「お願い」の原告の画像及び本件事件の際の防犯カメラに映っていた本件犯人の画像2枚を見せられたところ,前者の画像の人物は自分であるが,後者の画像の人物は自分でない旨述べた。原告は,当初から一貫して本件事件の犯人であることを否認していた。
イ法210条1項の「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」があるというためには,捜査機関として一定の証拠に基づき被疑者が犯人であると確信できる程度の状況があることを要すると解される。そして,客観的にそのような状況が認められた場合においては,仮に同項によって緊急逮捕された者が真犯人でなかったとしても,直ちに逮捕行為が違法となるわけではない。本件において,被告県は,嫌疑の根拠事由などから,本件逮捕時において,原告が罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があった旨主張するので,以下検討する。まず,根拠事由(被害届の提出)は,客観的に万引き事件(本件事件)が発生したこと以上の事実を示すものとはいえない。また,根拠事実(原告が本件車両を使用していたこと)が原告と本件犯人とを結びつけるというためには,C顧問の平成25年5月7日に本件車両を使用していた人物と本件犯人が似ているとの判断が適当なものであることが前提となるのであり,根拠事実それ自体から,直ちに原告が(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/379/086379_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86379