主文(by Bot):
被告人は無罪。
理由
1本件公訴事実は,「被告人は,みだりに,平成28年1月31日頃,栃木県a郡b町c町d丁目e番f号において,Aに対し,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する結晶約0.2グラムを,代金1万円で,同所1階に設置された被告人使用の郵便受けに入れて,その頃,同所において,これを前記Aに受領させ,もって覚せい剤を譲り渡したものである。」というものである。
2本件では,上記Aより平成28年2月1日に提出された尿から覚せい剤成分が検出され,Aは同日頃に覚せい剤を使用した罪により有罪判決を受けているところ,Aは,この使用した覚せい剤の入手状況等につき,公訴事実と同旨の供述(以下「A供述」という。)をしているものである。公訴事実に関する積極的直接証拠は,このA供述のみであるから,本件では,このA供述の信用性が問題となる。(なお,公訴事実を推認させる重要な間接事実も存在しない。)
3Aは,公訴事実と同旨の内容を述べるとともに,4年ほど前から覚せい剤を使用していたこと,当初は,被告人に依頼して覚せい剤を入手していたが,その後,被告人以外の者から覚せい剤を入手するようになったこと,入手先となった者には,暴力団組員など暴力団関係者がいること,この入手先の中には逮捕等された者もいるが,平成28年1月末ころにも被告人以外に3名の入手先が逮捕等されずに社会内にいたこと,を述べており,A供述の信用性を検討する際には,被告人以外の入手先が存在していたことを前提にする必要がある。また,Aは,暴力団関係者からの報復を恐れており,暴力団関係者のことを話したくない旨及び保身のために安易に嘘をつくことがあるし,迎合的な態度をとる旨を述べているが,実際のAの公判廷における供述経過・供述態度からもこれらのことがうかがえる。このようなAの発言傾向や性格等も(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/455/086455_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86455