裁判所の判断(by Bot):
被告人は,判示の各犯行について,いずれも自分の記憶にはないが,自分は解離性障害により別人格になってしまうことがたびたびあり,本件各犯行は,その別の人格がやってしまったと思う旨供述している。そして,弁護人は,被告人は解離性同一性障害に罹患しており,本件各犯行は,被告人の別人格である「甲」が実行したもので,主人格である「乙」人格自身は,犯行を弁識していないことはもちろん,これを制御することもできなかったから,被告人に刑事上の責任を問うことはできず,被告人には責任能力がないので,被告人は無罪である旨を主張している。当裁判所は,この点について,本件各犯行は,いずれも,被告人が平素の人格状態で行ったもので,被告人には完全責任能力が認められると判断したので,その理由について以下に説明する。 第2 被告人の平素の人格状態と本件各犯行時における被告人の振る舞いについて
1被告人の平素の人格状態について
被告人は,女性として出生し,「丙」と命名されたものの,小学校4年生頃から,スカートを履いて女の子と混ざって遊んだり,女の子の遊びをしたりすることに違和感を覚えるようになり,中学生になった頃からは,髪の毛を短く切って服装も男っぽい格好をするようになり,23歳の頃,知人の指摘をきっかけに,自分が,肉体的には女性だが精神的には男性である,性同一性障害であると明確に認識するに至り,平成22年6月頃乳腺の切除手術を受け,翌平成23年頃には戸籍上の名を「丙」から「丁」に変更した。本件各犯行の前後の時期も,髪の毛を短くし,男物の下着,上着とズボンを身に着け,外出先では男性用便所を使用するなど,平素は男性として振る舞っていた。 2本件各犯行時における被告人の振る舞いについて
これに対し,本件各犯行時において,被告人は,ロングヘアーのウィッグを装着し,判示第2から第6の犯行では,さらに(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/777/086777_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86777