【下級裁判所事件:殺人被告事件/福岡地裁/平29・6・2/平27 (わ)1440】

結論(by Bot):
以上によれば,被告人に殺人罪は成立しない。なお,これまで述べたとおり,Cが以前からの被告人らによる激しい暴力等により,肉体的・精神的に衰弱していたことは明らかであるところ,泳ぎが苦手なCが,川岸で入水をためらった後に,被告人に許しを請うこともないまま,自らB川に飛び込んでいることに照らすと,本件当時,Cは,川に飛び込む以外の行為を選択することが著しく困難な精神状態に陥っていたものと推認できる。そうすると,被告人が,Cに対し,B川に入るよう強く命じ,Cをして川に飛び込ませた行為は,Cが泳げないことの認識が被告人になかったとしても,少なくとも被害者であるCの行為を利用した暴行に当たるといえ,その結果,Cが溺死しているから,本件では傷害致死罪が成立する。
4以上検討したように,被告人の所為は,傷害致死罪(平成16年法律第156号による改正前の刑法205条)に該当するが,その公訴時効の起算点は,犯罪行為が終わった平成11年5月の大型連休の頃であり,検察官が平成27年10月30日に公訴提起した時点においては,既に7年(平成16年法律第156号附則3条2項により同法による改正前の刑訴法250条3号による。なお,平成22年法律第26号附則3条1項)が経過して公訴時効が完成していたことが明らかであるから,刑訴法337条4号により被告人に対し免訴の言渡しをする。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/843/086843_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86843