判示事項(by裁判所):
1親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該債権の額につき,法人税法22条3項3号所定の「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできないとされた事例
2親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡及び解散に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該債権の額につき,法人税法37条1項所定の「寄附金の額」に該当しないものとして損金の額に算入することはできないとされた事例
要旨(by裁判所):1親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該子会社の資産状況や支払能力等,債権者らの当該子会社との企業グループ関係や債権回収に未着手の状況等,当該親会社の主要取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に照らし,当該親会社が無条件に当該債権の放棄に係る損失を全額負担することに経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認められないという判示の事情の下では,当該債権の額につき,法人税法22条3項3号所定の「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできない。
2親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡及び解散に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該子会社の資産状況や支払能力等,債権者らの当該子会社との企業グループ関係や債権回収に未着手の状況等,当該親会社の主要取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に加え,当該親会社が当該事業譲渡の内容や条件について主体的かつ自由に判断できる立場にあったこと等に照らし,当該親会社による当該債権の放棄は経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認め難いという判示の事情の下では,当該債権の額につき,法人税法37条1項所定の「寄附金の額」に該当しないものとして損金の額に算入することはできない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/973/086973_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=86973