裁判所の判断(by Bot):
判示第1の事実のうち,被告人が被害者方に侵入したこと,被害者を殺害したことについては当事者間に争いがない。検察官は,被告人は強取目的で被害者方に侵入した,被害者を脅して,現金を奪うとともに,キャッシュカードの所在と暗証番号を聞き出そうと考えて,ベッドで寝ていた被害者の頭を右手で押さえつけたもので,この行為は強盗の実行の着手に該当する,被告人が被害者を殺害したのは金品を強奪するためであった,被告人は被害者から現金約35万円を奪った旨を各主張し,被告人の行為については住居侵入・強盗殺人罪が成立する旨を主張している。他方,弁護人は,被害者方への侵入は金品を盗むためで,強盗の目的まではなかった,被告人が,寝ている被害者の頭部に触って被害者を起こした行為は,財物奪取に向けられた暴行・脅迫ではなく,強盗の実行の着手はない,被告人が被害者を殺害したのは,被害者を起こした後に会話をしながらキャッシュカードの所在や暗証番号を聞き出すつもりであったが,その会話をする前に予想に反して被害者がパニックになったことから,とっさに首を絞めて殺害したものであり,金品を強奪するためではない,被告人は被害者から現金を奪っていない旨を各主張し,被告人の行為については住居侵入・殺人罪が成立するにとどまると主張している。当裁判所は,被告人が被害者方に侵入したのは金品を強取するためであった,被告人が被害者の頭を手で押さえつけるなどした行為は強盗の実行の着手に当たる,被告人の被害者殺害の目的が,金品を強奪するためであったとは認められない,被告人が被害者から現金を奪ったとは認められない,と各判断し,被告人の行為については住居侵入・強盗殺人罪が成立すると判断したので,以下にその理由を説明する。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/127/087127_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87127