【下級裁判所事件:殺人/福岡高裁/平29・11・14/平29(う)238 結果:破棄差戻

裁判所の判断(by Bot):

しかしながら,記録を調査して検討すると,原審は,被告人の責任能力の前提となる犯行に至る経緯及び被告人の精神状態が犯行に及ぼした影響について,十分な審理を尽くしておらず,これらの審理不尽が,少なくとも量刑判断の前提になる犯行当時の被告人の精神状態の判断に影響を及ぼすことは明らかであるから,原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある。以下その理由を説明する。 ?犯行に至る経緯について
ア被告人は,平成28年2月10日最終刑の執行を受け終わってから,住居が定まるまでB方に居候することになり,B及びその交際相手である被害者と生活し,就寝時は,被害者及びBが寝るベッド付近からハシゴを昇った場所にあるロフトで寝ていたところ,Bは,原審公判において,次のとおり供述している。被告人は,犯行当日の同月28日午前零時頃,ロフトで携帯電話をいじって,寝ようとせず,Bと被害者が早く寝るように言うと,台所から本件包丁を持ち出して,
死ぬなどと言いながら,自分の首に突きつけるなどしたが,Bがロフトに上がるように促すと,本件包丁を台所に戻して,ロフトに上がった。Bは,同日午前4時45分頃,物音がして目を覚ますと,台所の方から,被害者が「お前表出れ」と言い,被告人が「出ちゃるわ」と言うのが聞こえ,けんかになると思って,台所に行くと,被害者が血を流して倒れており,その横に本件包丁があった。Bは,被害者を抱きかかえてベッドに移動させようとして,尻餅をついたところ,被告人が後方から被害者の顔面を1回蹴ってきた,というのである。
イこれに対して,被告人は,原審公判において,次のとおり供述している。犯行当日,元交際相手の怨霊に操られて,包丁を持ち出して,自分の首を刺そうとした記憶がある。その後,ロフトに上がったが,電気を消さなかったため,寝られないという被害者と口(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/280/087280_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87280