罪となるべき事実(by Bot):
1 本件再審請求の趣意は再審請求書,再審請求理由補充意見書(1)から(6)まで(弁護人作成),意見書(請求人作成)のとおりであり,これに対する意見は意見書,同(2),(3),上申書(検察官作成)のとおりである。要するに有罪の言渡しを受けた亡A(以下「被告人」という。)を犯人と認めて有罪の言渡しをした確定判決に対し無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したというのである。 2 確定判決は「(罪となるべき事実)」として要旨次のとおり判示して被告人の犯人性を認めた。
被告人は,妻(B)と愛人(C)との三角関係の処置に窮し,両名を殺害して関係を一挙に清算しようと考え,昭和36年3月28日,居住地区の生活改善グループが公民館で行う懇親会で女子会員用にぶどう酒が出されることを察知し,これに農薬ニッカリンTを混入するときは,これを飲む妻と愛人を含む女子会員が死亡するかも知れないことを十分認識しながら,密かに同ぶどう酒にニッカリンTを混入し,これを飲んだ妻と愛人を含む5名を有機燐中毒により死亡するに至らせて殺害するとともに,これを飲んだ12名に有機燐中毒症の傷害を負わせたにとどまり,その余の3名はこれを飲まなかったため,15名については殺害するに至らなかった。 3確定判決までに提出された証拠(更には当審までに提出された証拠)によれば,被告人の犯人性は揺るがない。
4(1)本件はぶどう酒中に毒物の有機燐テップ製剤(茶畑等の害虫の駆除に用いられる農薬の一種。強毒性のテトラエチルピロホスフェート[TEPP]を主成分とする。)が混入されたことによって生じた事件である。混入は製造過程や流通過程ではなく(TEPPは加水分解速度が速く,それによって無毒化する[ゆえに農薬に適する。]ため,かかる過程での混入で本件のような事件は起こせない[販売時点に近接する流通過程での混入については,そのような事態をうかがわせる証跡は何ら存しない。]。),本件当日であることは証拠上明らかである。
(2)本件当日,Dは酒屋で本件ぶどう酒を買い受け,E運転の車の助手席に乗ってF方前に至り,車に乗ったまま助手席窓からFの妻Gにこれを手渡した。Gは本件ぶどう酒をF方玄関小縁(上り框)の西端付近に置いた。被告人がF方を訪れ,Gが本件ぶどう酒を公民館に持って行くよう依頼し,被告人はこれを公民館に持って行った(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/389/087389_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87389