【下級裁判所事件:傷害致死被告事件/奈良地裁/平29・12・ 21/平29(わ)189】

裁判所の判断(by Bot):

1争点について
?長女の死因が脳浮腫であり,これが急性硬膜下血腫及びびまん性脳実質損傷という致命傷に基づくことは両当事者間に争いがなく,関係証拠によっても明らかに認められるが,弁護人は,これらの致命傷は,被告人が平成28年12月17日に長女を誤って布団に落下させたことにより生じたとしか考えられない旨主張しており,致命傷が故意による暴行によって生じたか否かに争いがある。
?長女の遺体を解剖し,脳組織の検査を実施したB医師の証言によれば,長女の脳には上記致命傷に加えてびまん性軸索損傷が生じていたと認められる。そして,B医師並びに長女の生前に撮影された頭部CT画像や死後に撮影された頭部MRI画像から受傷原因等を判断したC医師及びD医師は,びまん性軸索損傷が生じる原因として,成人であれば交通事故や高所転落等,頭部に極めて強い回転性外力を加えられなければ生じ得ず,長女の月齢を考慮すれば,必ずしも同程度の外力が必要とまではいい切れないものの,強い揺さぶりなどの外力が必要であり,日常の育児上の動作や,1メートル程度の高さから乳児を布団に落とすという程度では,同損傷が生じることは考えられないなどと証言している。各医師の学識や経験に加え,3名の供述内容が概ね一致していることからすれば,上記各証言は信用性が高いといえる。これらの証言によると,上記損傷は,日常生活の中で生じ得る事故等によるものではなく,頭部に意図的な強い回転性外力が加えられた結果といえ,上記損傷が故意による強い外力によって生じたことは明らかである。
?また,C医師は,長女のCT画像から診断される受傷状態に照らすと,致命傷の受傷時期は,同画像が撮影された平成28年12月19日午後11時57分から遡って,三,四時間以内と考えられると証言し,D医師も,同様に,受傷時期はどんなに長く遡っても上記撮影時刻か(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/395/087395_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87395