【下級裁判所事件:詐欺/東京高裁/平29・12・13/平28(う)1772 結果:破棄自判

裁判所の判断(by Bot):

本件各行為が欺罔行為に当たるとした原判決は正当であり,原判決の法令適用に誤りはない。以下,本件の背景にある事実関係(これは原判決も当然に前提としていると認められる。)を説示した後,所論を検討する。
すなわち,原審記録によれば,被告人は,原判示1の事実において,科研費等を支出しようとするに当たり,Fがその業務内容を行って成果物等を作成し(Gについては業務が行われていない。),代金の大半がFに流れる前提であるにもかかわらず,FがA大学から直接受注するのではなく,原判示別表各記載の関係会社がFとA大学の間に入る形で受注することとし,同別表の個別事件の共謀相手と共謀の上,関係会社が別表記載の業務内容を受注することとして,関係会社名義での見積書,納品書,請求書等をA大学の経理担当係員に提出したと認められる。また,原判示2の事実においては,E教授の委託費による発注に関し,前記同様の流れを前提に,Fにおいてシステム開発を行うとし,CのHに,FとD大学の間に入ることを依頼して共謀の上,Cが在宅介護支援の現状調査・分析作業等の業務を受注することとして,同社名義での納品書及び請求書等をD大学の経理担当係員に提出したと認められる。そして,Fは,被告人が設立し,代表取締役を務めた会社であり,被告人がBセンター教授に就任するに当たり,兼業許可の関係で,平成21年7月27日に役員を辞任したものの,同社の唯一の取締役は被告人の当時の妻で,経理関係で形式的なことを行うのみであった上,同社の従業員は,本件の共犯者I及びJの2名だけであって,同人らをFで雇用することにしたのも被告人であり,被告人は,本件当時も実質的にFを経営していたと認められる。また,原判示2の平成21年度長寿医療研究委託事業については,被告人もE教授も共に分担研究者として委託費の交付を受けていたと認(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/408/087408_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87408