【下級裁判所事件:選挙権確認等請求控訴事件/広島高裁3/ 平29・12・20/平28(行コ)24】結果:その他(原審結果:棄却)

要旨(by裁判所):
1投票することができる地位にあることの確認を請求する訴えについて
控訴人は,1審判決後に刑の執行を終えて出所しており,被控訴人(国)も控訴人が次回の国政選挙において投票をすることができる地位にあることを争っていないから,確認の利益がなくなっており,同訴えは却下すべきである。
2国家賠償請求について
公職選挙法11条1項2号が憲法に違反するものとはいえないから,同号に係る立法行為及び同号を廃止しない立法不作為に国家賠償法上の違法は認められず,国家賠償請求は理由がない。選挙権は,個人の主観的権利という性格を持つと同時に,国家機関としての選挙人団の一員としての公権力の行使及び国家意思の形成に参画する公務としての性格を併せ持つものと解される。上記の選挙権の性格と,憲法44条本文が明文で選挙人の資格を法律の定めに委ねていることからすれば,憲法は,法律が上記公務に携わることへの適格性(公務適格性)に係る合理的な理由に基づき選挙人の資格の制限(欠格事項)を定めることを許容しているものと解される。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/412/087412_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87412