【下級裁判所事件:業務上過失致死傷被告事件/長崎地裁 事部/平30・2・1/平28(わ)254】

犯罪事実(by Bot):
被告人は,平成25年2月8日当時,株式会社Aの代表取締役として,同社が長崎市a町b番c号において運営する認知症対応型共同生活介護事業所Bの経営,管理等の業務全般を統括するとともに,消防用設備等を設置,維持するなどの業務に従事していた。Bは傾斜地に建てられており,道路に面した玄関は2階部分にあり,各階の移動には階段を使う必要がある構造となっていた上,平成25年2月8日当時,Bには自力歩行のできない者を含む要介護認定を受けた認知症の高齢者が多数入居していた反面,Bでは入居者の介護に従事する介護職員が1名のみである時間帯があった。このような状況の下でBの施設内において火災が発生すれば,同施設内に燃え広がり,入居者や職員の生命,身体に危険を及ぼすおそれがあったのであるから,被告人はBの経営,管理等の業務全般を統括するとともに,消防用設備等を設置,維持するなどの業務に従事するものとして,スプリンクラー設備を設置し,火災発生時における入居者等の生命,身体の安全を確保すべき業務上の注意義務を負っていたが,これを怠り,同設備を設置しないまま漫然とBの業務運営を継続した。この過失により,平成25年2月8日午後7時20分頃,B2階にあるC(当時78歳)の居室から出火した際,早期にこれを消火したり,その延焼を防止することができず,Bの施設内に燃え広がり,その結果,別紙死亡者一覧表記載のとおりD(当時88歳)ら5名をそれぞれ死亡させるとともに,別紙負傷者一覧表記載のとおり前記Cら5名にそれぞれ傷害を負わせた。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/517/087517_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87517