要旨(by裁判所):
判示事項の要旨
被告電源開発が建設中の大間原子力発電所(本件原発)について,原告ら1164名が,本件原発において重大な事故が発生すれば生命,身体に重大な被害を及ぼす放射線被ばくを受ける高度の危険にさらされるなどとして,被告電源開発に対し,人格権に基づき,建設・運転の差止めを求めるとともに,被告国及び被告電源開発に対し,慰謝料の支払を求めた事案について,原子力規制委員会が安全審査に用いる具体的審査基準それ自体に不合理な点がある場合は差止めが認められるべきであるが,最新の科学技術水準を踏まえ,確立された国際基準からみて,改正原子炉等規制法の施行に伴い制定された新規制基準に不合理な点は認められず,また,原子力規制委員会の安全審査が未だなされておらず,本件原発の運転開始の目途も立っていない現時点においては,重大事故発生による放射性物質の放出等の具体的危険性を認めるのは困難であり,裁判所が規制委員会に先立って安全性に係る具体的審査基準への適合性について審査することは相当ではないから,審査基準に適合しないとの理由で建設・運転の差止めを認めることはできないとし,慰謝料請求についても,原告らの不安感は抽象的なものにとどまり,法益侵害は未だ生じていないと判断して,原告らの請求をいずれも棄却した事例。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/632/087632_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87632