主文(by Bot):
原判決を破棄する。
被告人は無罪。
理由
1本件控訴の趣意は,被告人及び弁護人林桂一郎作成の各控訴趣意書記載のとおりであるからこれらを引用するが,要するに,被告人は指定最高速度時速50kmを超える時速83kmで自動車を進行させていないから,同事実を認定した原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認がある,というのである。
2そこで,記録を調査して検討すると,同事実を認定した原判決の判断は,論理則,経験則等に照らして不合理であって,是認することができない。すなわち,原判決は,プラス誤差が発生する車線変更中の車両測定の可能性を検討し,被告人車両の速度を測定したB警察官の原審供述から車線変更前の被告人車両を測定したものと認定して,その可能性がないとしている。しかし,B警察官らが作成した本件速度測定に関する各書面には,同供述に沿うものと車線変更後の被告人車両を測定した旨記載されたものとが入り混じっており,被告人車両の走行状況につき顕著な齟齬があり,かつ,その齟齬に関するB警察官の説明も不自然・不合理であるから,B警察官の供述が信用できることを前提とした原判決は,論理則,経験則等に照らし不合理である。そして,B警察官が関与した前記各書面の齟齬,混乱ぶり等からみて,プラス誤差が発生する向側車線(第2車線)から手前側車線(第1車線)に車線変更中の被告人車両を誤測定した可能性があり,その他の証拠によっても,前記誤測定の合理的な疑いを否定できない。以下,説明する。 原判決挙示の証拠から,以下の事実が認められる。
ア 本件の現場となった道路は,南北に走る片側二車線の見通しの良いほぼ直線の道路であり,道路標識により最高速度時速50kmの速度規制がなされている。 同道路には,中央分離帯が設けられ,道路南端には信号機及び横断歩道のある交差点が設けられている。
イ 大分県警C警察署所属の(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/685/087685_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87685