【下級裁判所事件:再審請求事件/札幌地裁/平30・3・20/平2 9(た)1】

裁判所の判断(by Bot):

1被害者の死因について
確定判決等における判断
確定判決等は,被害者の死因について,J鑑定等に基づき,死体には,左眼瞼結膜,口腔粘膜及び左側頭筋膜下に溢血点が存在し,気管内部に淡赤色の微細な泡沫が中等量に存在し,この泡沫内にも気管内部にも明らかなすすの存在はなく,気道にも熱傷がないことから,被害者の死因は頸部圧迫による窒息であり,何者かが被害者の頸部を圧迫して殺害した上で死体を焼損したことは明らかであるが,殺害の具体的態様は不明であると判断している。 L医師の見解等
死因が頸部圧迫による窒息死であると認められるためには,血液が暗赤色で流動性を有すること,臓器に鬱血があること,眼瞼結膜や口腔粘膜等に溢血点があること(ただし,これらの古典的窒息所見(窒息の3兆候)は,窒息死に特異な所見とはいえず,窒息死以外の急死にも生じ得る一般急性死の所見である。)のほか,頸部圧迫を裏付ける所見(頸部索状痕,圧痕,圧迫部の上方の部位(顔面や頸部の皮膚,頸部気管,頸部リンパ節など)の鬱血,筋肉内出血,舌骨や甲状軟骨の骨折等)があること,窒息死以外の原因で死亡した可能性が除外されることが必要である。
しかし,J鑑定書では,眼瞼結膜等の溢血点,心臓血の流動性,肺鬱血など,窒息死の場合のみに認められるわけではない一般急性死の所見に関する記載があるのみで,頸部圧迫の事例に特に認められる所見等が示されていない。むしろ舌骨,甲状軟骨の骨折等はなかったこと,心臓内の血液が暗赤色で少し鮮紅色調であったことなど,頸部圧迫による窒息死を否定する所見が示されている。J鑑定は,死因を頸部圧迫による窒息死と判断すべき合理的な根拠を示していない。 また,被害者は若年女性であり,その死体は,屋外でタオルで目隠しをされ,陰部が念入りに焼損された状態で発見されているなど,男性による性犯罪に伴う薬物使(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/718/087718_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87718