【下級裁判所事件:詐欺/福岡高裁1刑/平30・5・18/平30(う)56 】結果:破棄自判

主文(by Bot):
原判決を破棄する。被告人は無罪。
理由
論旨は,被告人は,本件各詐欺の故意がなかった上,Aらと本件各詐欺を共謀したこともなかったから,被告人がAらと共謀して本件各詐欺に及んだと認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。そこで記録を調査し,当審における事実取調べの結果も併せて検討すると,以下のとおり,被告人に本件各詐欺の故意があったとも,被告人がAらと共謀して本件各詐欺に及んだとも認定することはできないから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある。以下その理由を説明する。 1原判決の認定
原判決は,本件公訴事実のとおり,次の事実を認定している。
第1 被告人は,Aと共謀の上,平成24年10月14日頃,被害者に対し,株式会社Bが存在せず,株式会社Bが請け負う工事も存在しない上,株式会社Bが請け負う工事に関連した収入の見込みもないのに,これらがあるように装った上,次のとおり詐欺をした。すなわち,被害者に対し,「株式会社Bの材料仕入代として400万円を貸してほしい。11月30日には,株式会社Bが請け負っている工事の関係でC株式会社から705万円が入るから,それで返済する」などと嘘を言い,その旨誤信させて,翌日,被害者の指示の下にAの普通預金口座に360万円を振込入金させた。
第2 被告人は,A及びDと共謀の上,同月26日頃から同月27日頃までの間,被害者に対し,株式会社Bと株式会社E建設が存在せず,両社が請け負う工事も存しない上,株式会社Bが請け負う工事に関連した収入の見込みもないのに,
これらがあるように装った上,次のとおり詐欺をした。すなわち,被害者に対し,「株式会社E建設の材料仕入代として450万円を貸してほしい。Aが保証し,11月22日に株式会社Bが請け負った工事の関係で入る金で返済する」などと嘘を言い,(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/806/087806_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87806