裁判所の判断(by Bot):
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条1号にいう「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは,アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい,アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態もこれに当たると解される(最高裁平成23年10月31日第三小法廷決定・刑集65巻7号1138頁)。?原判決は,次の理由から,被告人が「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」であったことには合理的な疑いが残るとしている。まず,運転開始から本件事故現場に至るまでの間,自宅に向かって自車を走行させ,道路状況に応じた運転操作をしており,本件事故現場の約700m手前の交停止時間に若干不自然な点はあるものの,少なくとも前方の危険は認識し,それを回避するための運転操作ができていた。次に,本件交減速し,右折車線に進路変更して右折を始めていることに加え,本件事故現場に残されたタイヤ痕や引きずり痕,被告人車両の停止距離などから,被告人は被害者車両と衝突した際直ちにブレーキを踏んだ可能性があり,直進車両に気付かなかったこと,かなり内小回りであったこと以外には,一般的な右折操作を行っていた。さら
に,被告人は,飲酒検知等の際,酩酊状態にはあったが,その言動からは,自分が衝突事故を起こし,被害者が負傷したことを認識していたこともうかがえる,というのである。原判決が「結論」において説示したところからも明らかなように,原判決は,被告人が,道路状況に応じた運転操作ができていたこと,見当識を失っていた様子がうかがえないことから,「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」というには合理的な疑いがあると判断したものということができる。しかし,それまで10回ないし20(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/904/087904_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87904