【下級裁判所事件:過失運転致死傷被告事件/大津地裁/平3 0・3・19/平30(わ)471】

概要(by Bot):
本件は,大型貨物自動車を運転する被告人が,高速道路上において,スマートフォンのアプリケーションソフト(以下,単に「アプリ」という。)の閲覧・操作等に気をとられ,進路の安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務に違反して多重交通事故を起こし,1名を死亡させ,4名に傷害を負わせた過失運転致死傷の事案である。被告人は,高速道路上において大型貨物自動車を運転していたのであるから,脇見をすることのないようにして,特に前方を注視して慎重に進行すべきであった。それにもかかわらず,被告人は,左手に持ったスマートフォンを起動し,画面をタッチしてたち上げたドライブ計画用アプリに出発地を入力する操作等を行った上,同スマートフォンを床上に落としてこれを拾おうとするなどして,約10秒間も前方の注視を怠り,渋滞により減速進行中ないし停止中であった被害者A運転車両に自車を追突させて本件事故を引き起こした。時速約80キロメートルという被告人運転車両の速度,スマートフォン(機器本体の寸法:縦約15.8センチメートル,横約7.8センチメートル)の小さい画面に意識を集中しており,前方注視がほぼ完全に疎かになっている態様や前方不注視時間の長さ,進路の見通しが良かったにもかかわらず,被告人が実際に被害者A運転車両の約2.6メートル手前という差し迫った時点に至るまで渋滞に気付かなかったことに照らすと,本件前方注視義務違反は,自動車運転者としての基本的な注意義務に違反したことはいうに及ばず,被告人が通常の過失態様を逸脱する運転をしたと評価すべきであって,犯行態様の危険性は著しく高い。他方,被害者Aを始めとする各被害者には何ら落ち度がない。以上の点は,被告人の刑の重さを検討するに当たって最も重要視すべき犯情事実である。進路前方に渋滞があることを事前に確定的に認識していたことや,前記アプリ操作(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/916/087916_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87916